阪神大震災の被災地に米を送る活動を続けている「立ち上がれ神戸の会」(事務局・八街市、桜田秀雄代表)が、県内に散らばる震災ボランティアのネットワ−ク作りに取り組んでいる。「被災地での経験を生かして、県内で災害が発生したときの受け皿を作りたい」。震災から四年目を迎える十七日、八街市中央公民館で集会を開き、ネットワ−クへの参加を呼びかける。そのうえで、参加者の経験を生かして、危機対策のマニュアルづくりをめざす。
神戸の会は、震災直後から、被災地に入り米を配ったり、移動入浴車を運営したりして、活動を続けてきた。八街市に住む桜田さんはJR職員として仕事のかたわら、ボランティアを続け、神戸には年に数回行っている。しかし、当初は県内一円から二百人近い支援者が協力してくれたが、最近では実際に活動するのは千葉市や八千代市などの十五人ほどになってしまった。
「あの震災の記憶が風化してきている」。こんなふうに強く感じる桜田さんは「いまの活動を続けながら、今後は身近な防災問題にも広げたい」と考えた。当面、災害時に救援拠点となる学校や公民館の危機対策マニュアル作りなどを県などに働きかける。全国から集まったボランティアが、具体的な指示を受けられず混乱した神戸での経験から、必要性を痛感したからだ。
県内では震災をきっかけに生まれたグル−プがいまも活動を続けている。マニュアルづくりに取り組み、働きかけるには、ばらばらに活動するよりも、団結して働きかける方が効果的だと考えた。桜田さんは「県内にネットワ−クができれば多くの情報を共有でき、今後の活動に幅が出る。身近な活動に取り組むことで県民にアピ−ルすれば、神戸の支援活動が今でも大切であることも認識してもらえるはずだ」と話す。
十七日の集会は午前十時半から。会場の公民館の一階ロビ−では、震災直後と昨年十二月の被災地の様子をとらえた写真を並べて展示している。大震災に見舞われた長田地区や、高速道路が倒壊した現場などの復興ぶりも報告する。(朝日新聞・千葉版、平成11年1月10日)